おゆみ野店店長コラム「こーひーの丁寧なハナシ」

第127回【「格」が付かない普通の美味しさ】


 

こんにちは。12月に入りいよいよ今年も残り僅かです。金曜日の夜は年内最後のライブに行って今年のライブ納めも終わりました。年末の来店・通販共に忙しさのピークに向けてしっかり英気を養ったので、改めて体調管理と段取りに気をつけつつ過ごしていきたいと思います。
 

さて第127回の今回は「「格」が付かない普通の美味しさ」と題し、最近飲んだ日本酒や高価格プレミアムコーヒーの味わいについて感じた事を書いていきたいと思います。
 

ビール日本酒焼酎ワインウイスキースピリッツ等、基本的にアルコールの入っている飲み物は満遍なく飲みますが、その中でも気温が下がってくると日本酒を飲みたくなる事が多くなります。
 

日本酒のお気に入りの蔵元が幾つかあるのですが、その中の一つに福井県にある黒龍酒造があります。
 

お正月に実家に帰った時に頂き物の「石田屋黒龍」という高くて希少なお酒を飲んで以来その魅力にハマってお気に入りで、自分でも一般グレードのものをよく買って飲んでいます。
 

先日そんな黒龍酒造のお酒で、いわゆる「純米大吟醸」や「吟醸」といった特定名称の付いていない「九頭龍・逸品」というお酒を見つけたので買ってみました。
 

家に帰って飲んでみると、同じ黒龍酒造の吟醸酒や純米酒のような洗練された際立つ華やかさとは違う、いい意味でシンプルで品が良く、何よりもバランスの良さとクオリティの高さを感じました。
 

そして一番唸ったのは720mlの四合瓶で\1100あまりというお値打ち感。これからは普段飲み用の日本酒だったら基本コレ一択でいいと思うような満足感がありました。
 

僕の今までの経験上、それなりに満足のいく日本酒を飲もうと思った時の価格の下限は\1500位を目安にしていて、そこを下回って\1000前後になるとなんらかの不満や物足りない部分があったのですが、このクオリティと満足度でこの価格は日本酒の価格や特定名称に対する考え方を考え直すきっかけになりました。
 

よく地方の土産物屋や道の駅、旅館のメニューで見かけるようなご当地地酒で大層な特定名称の「格」は付いているものでも、いざ買って飲んでみるとそれなりに高い値段を払っているのに「こんな味なら買うんじゃなかった」とガッカリするようなクオリティのものもあります。
 

今回感じたのは、味作りは個々の酒蔵が持つ技術やノウハウ、感性といったものがクオリティの土台になっており、その土台の高さが「格」や「価格」を凌駕する良いものを生み出す事があるという事です。
 

それはコーヒーにも当てはまります。
 

希少な品種や有名な農園の豆だから、値段が高い豆だから必ず美味しいという事はなく、お店毎の味作りの技術や感性によって、「格」や「価格」では表せない味わいやクオリティのものを作る事ができます。
 

そしてそれは当店が「際立つ魅力」と共に「親しみやすくとびきり普通な美味しさ」を大切にしている理由と共通する点でもあります。
 

2023年12月3日

坂本壮太
 

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