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週刊こーひーコラム

「プロのつぶやき」

 

プロのつぶやき1377【決して一世を風靡しない】

 


*8/14(金)〜8/18(火)夏休みになります(月火定休日です)


あっという間に8月ですが・・・熊本で大地震になってしまいました。 前の大地震から 10年しか経っていないのに、また大きな地震とはなんてことでしょう。いつもの暮らしに戻れるまでどれくらいかかるのでしょう・・・ インフラも大変ですが、 さらに精神的なダメージが大きいと思います。心からお見舞い申し上げます。自然の脅威を感じるばかりです。


今年引退することになった錦織選手がワシントンの大会に出場しました、10年前に優勝した大会です。引退を決意してからひと月テニスを週1回するくらいで、練習を完全に休んだら、この数年ずーっとあった肩や腰や膝の痛みが気にならないほどになって・・・その1回戦、ヴィンテージ圭と呼ばれる円熟したプレイでフルセット勝ち・・・2回戦は今年急成長した若手には負けてしまいました。


1回戦では10年前の若さ溢れるキレキレとは違う、なんともうつくしい、円熟した見事なショットやサーブもプレースメントが素晴らしく、本来なんでもできる天才プレーヤーだというのを再認識しました。痛みに如何に阻害されていたのかが伝わってきます。


インタビューでは、納得して引退するには残りの試合を全勝するくらいでないとと話していて、世界のトップの選手の見ている世界の凄さが伝わってきました


2回戦のインタビューでは、怪我から復帰する時の鈍い感覚に襲われ、練習では入るが本番の試合ではダメ、コートでボールを打てませんでしたと話していました。これが現役最後の試合だったらやめるにやめられない、強がりに聞こえるかもしれないが、相手が速すぎるとか、ずっと守勢に立たされている感じはしなかったと、それでも新世代のテニスに対して若干の手応えを感じていて、トップ30〜50の選手と試合していないとツアートップの感覚が不足していると・・・この感覚が世界のトップで活躍した選手の思考や感情なんでしょう。トップ10で活躍していた感覚がベースにあるんでしょう。


タイミングの速さ、プレースメントの選択や正確さ・・・恐るべき、流石の、トップの感覚、意識、自信、自覚が伝わってきました・・・坂本は、行き過ぎた謙虚は傲慢の裏返しだと思っていますが・・・冷静に冷酷に自分のプレイや状態を見ている凄さが伝わってきます。


そんなこんなで・・・先週は「人気は高さより長さ」というさかもとこーひーの基本のテーマについて書いてみましたが・・・今週は「ピークを作らない商い」というもう一つの基本のテーマについて書いてみます。


達郎のインタビューで「決して一世を風靡しない。芸事は、自分の目が届く範囲でやらないと、自分じゃない自分が独り歩きするからね」というのが印象的で記憶に残っています。


職人も芸人に似ているところありますので「決して一世を風靡しない」と「 ピークを作らない商い 」は通じるところがあると思っています。


他の仕事ができない職人で、組織にも馴染めない困った性格、そんな自分を自営ながら経営者として生かせる商いを目指してきました。ある時からお手本にしてきたのは「デパ地下に出ない、老舗繁盛和菓子屋」です。


ケーキ屋さんはブームに乗って、マスメディアにも出て、その知名度を生かして拡大していくお店が結構あります。地方の頑張っているケーキ屋さんはその拡大した有名店を真似することも多いように感じています。


さかもとこーひー33年前の開店当時、売上なんてほとんどありませんでした。しかし子供を育てて、家族が普通に暮らしていけるようにはしたい・・・今でも自家焙煎のビーンズショップって少数派であまり一般的ではありませんが、30年前はもっと珍しいお店でした。(40年前の紅茶の店も珍しかったのは後になって気がつきました(笑))


それでも、喫茶店やカフェではなくて「ホームこーひー」をコンセプトにしたのは・・・元々紅茶が専門でしたので、紅茶は家で飲むのが基本になっていた延長で、家やオフィスでのこーひーのある暮らしを広めたいというのがスタートでした。


同時に、ホームこーひーだとリピートの常連さんが基本になりますので、一人一人常連さんを増やしていけば5年10年20年30年と積み重なって安定した商いに出来そうだと思っていました。


そうは言っても、こんなに小さな店でも何度か波が来たことがあります・・・もう30年くらいは業界誌やマスメディアと縁がありませんが、取材が無いのもあるし、取材を避けているのもあります。流行に乗るとその後が怖いので、全てスルーしてきました。(インターネットができてからは自分のメディアをもてるので、マスメディアが必要なくなりました)


「芸事は、自分の目が届く範囲でやらないと、自分じゃない自分が独り歩きするから」と同じように職人仕事は自分の目が届く範囲でやらないとコントロール効かなくなりますしね。


さらに、他の仕事ができないし、定年も退職金もないので・・・できるだけ健康で一生食べていける商いを意識してきました。店主によっては40代50代で繁盛させて、その後リタイアを目指す人もいますが・・・さかもとこーひーは ピークの無い商い、一生微増していける商いをイメージしてきました。


勿論、60歳70歳になって下降していくのはきついという思いもありました・・・若い時の繁盛は気持ちの良いものですが・・・60代70代になって体力気力が落ちて、売上も落ちるのは、なかなかメンタルが厳しいものだと思います・・・楽しい高齢者暮らしは意識していました。


若い時にヒットして繁盛して、老後にその頃の昔話をするのは野暮ですしね。


「ピークの無い商い、一生微増していける商い」を意識してやってきたら 気がついたら古希を過ぎて、さすがに体力は落ちて、集中力も長くは続きません。還暦になった時疲れたらすぐ休むを心がけてきましたが、60代後半になったら疲れる前に休むを心がけてコンデション整えています。


お陰さまで、息子二人が店に入って、もう10年前後キャリアを積んでいますので、日常の現場仕事はほとんど任せています。


朝7時から仕事して10時の開店前には外に出て、卸先のお店を回ったりしています。午後戻りますが、その時にお客さんがいると息子は顔見知りで親しく話ししているのですが、店主坂本は知られていないという状況になったりして、これで良いのだと思っています。


息子二人も拡大意欲が無いタイプですが、毎日同じ時間に同じ仕事を地道に繰り返していますし、表に出ないカッピングやブレンド等々はしっかりとトレーニングしています。繁盛老舗和菓子屋さんは、お客さんそんなに来ていない感じなのに、何10年も繁盛しています。裏では予約やお使い物で忙しいようです。


さかもとこーひーも近所からは暇そうだけど長く続いていると思われているようです・・・いい感じです(笑)


さかもとこーひーは「まろやかな美味しさと、ゆたかな香り」を大切にしています。


2026年08月02日

《まろやかな美味しさ、ゆたかな香り》

坂本 孝文

 

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