こーひーの丁寧なハナシ



おゆみ野店店長コラム「こーひーの丁寧なハナシ」

第167回【サブカル化するコーヒー業界】


 

こんにちは。9月が始まって一週間が経ちました。まだまだ暑い日も続いていますが、朝晩の気温も下がってきて少しずつ秋の気配が感じられるようになりました。季節の変わり目、くれぐれもご自愛下さい。
 

長男の小学校も始まりようやく普段通りの生活に戻ったと思った矢先、火曜日の大雨予報で船橋市の小学校も臨時休校になってしまいました。実際船橋市はそこまで大雨にはならなかったのですが、市原市の方では避難指示が出る地域や国道16号で道路の陥没があったりと、水害の怖さを思い出させるようでした。これから台風の発生が多くなる時期になってきますが、大事なく過ぎてくれる事を願います。
 

さて、先日ブルータスの最新号で「おいしいコーヒーのガイドブック」という特集が組まれていたので、手に取って読んでみました。
 

ページを捲るたびに注目のコーヒーショップやカフェ、ロースター、名が売れている業界人やコーヒー好きの有名人、最新機器の紹介や全国に広がるコーヒーフェスの模様など、ここ10年余りで若者を中心に盛り上がったコーヒーブームを象徴するような内容でした。
 

そんな記事を眺めているうちに「コーヒーの味についての視点」「コーヒーを日常的に楽しむ一般のお客さんの視点」この2つが欠けている点に、今のコーヒー業界の現状が表れていると感じました。
 

日本のスペシャルティコーヒー業界は文化が根付いて成熟化する前に、一部のマニアと感度が高い人達の為の閉鎖的な嗜み、いわゆる「サブカル化」してしまったのだと思います。
 

それこそ今時のコーヒーマニア達に代表されるような、流行に敏感だけど少し大衆の興味と違うことやメインカルチャーとは異なるものが好きで、周りからはスマートでスノッブに見られたい、肩肘張らないゆるさや自分らしさ、自己実現を大切にするような層にフォーカスしてきた結果なのでしょう。
 

コーヒー自体の価格と共に、どんどん高くなっていっているスペシャルティコーヒーの敷居の高さに、大多数の「日常的に普通にコーヒーを楽しみたい人達」との温度差が広がっていっているのを感じます。
 

まあだからと言って「そんなコーヒー業界をうちが変えてやる!!」といった情熱や対抗意識みたいなものは全くないので、よそはよそ、うちはうちの精神で、美味しいこーひーのある日常を大切にして、ご常連の方々の暮らしに寄り添うようなこーひーをお届けできるように励んで参ります。
 

2024年9月8日

坂本壮太
 

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