週刊こーひーコラム
「プロのつぶやき」


プロのつぶやき1258【美味しい、不味いを仕事にして・・・。



 

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朝玄関を出ると気持ちの良い陽気になりました・・・先週は桜が満開かと思ったら春の嵐で、近所の小学校の入学式で新一年生が頑張って傘さしていました・・・翌日は晴れて、桜もなんとか持って、孫の小学校入学式・・・赤ちゃんの頃の喜び、毎年一年一年の成長、妹が生まれてお兄ちゃんらしくなってきたり・・・これからも楽しみいっぱいです。
 

そんなこんなで・・・喫茶業界で仕事して50年経ったのですが、なんだかんだ毎日美味しいとか美味しくないとかやってきたわけです。
 

飲食店はみんな美味しいだの美味しくないだのがありますが・・・これが厄介で、美味しいのどうのは誰でもが感じるもので、それを仕事とするのはややこしいものだと思っています。まぁ、美味しさは100m競争では無いし、勝った負けたでは無いですけど・・・。(勿論、クオリティはお好みとは別の問題です)それに、価格毎の美味しさもありますしね〜。
 

さらに、紅茶やコーヒー、お酒などの液体の味覚は食感が無いことや、口に含むとすぐに喉を通ってしまいますので、味を捉えるのが難しいです。食べ物だと噛んだり、口の中にある程度の時間とどまったり・・・味を感じる時間に余裕がありますが、液体はその辺が頼りないものです。
 

元々、自分の嗅覚や味覚に自信が無いのですが・・・そんな人間が味覚の仕事に就いたわけなので、味覚レベルを向上させることを意識してきました。もっとも、不味いものが嫌いだったので、それが救いと言えば言えますし、食欲旺盛だったので、少しは才能あるのかなと思うこともあります(笑)二十歳くらいからあちこち食べ歩いたり、飲んだり呑んだり、いまだに同じです。
 

20代の頃紅茶の店で働いていた頃は分かったような分からないような感じでしたし、コーヒーの有名店通って、何種類かの豆買ってきても、その違いをあまりよくわからなかったり・・・今になると、その頃のコーヒーはそんなに違いが無かったのでわからないのも当たり前かと思っています。
 

仕事になると・・・お客さんがどう感じるかも大切です。店主がいくら美味しいと思っても、お客さんの感じ方は様々ですし、コーヒーの場合はお客さんが淹れるというハードルもあります。(まぁ、それがお店では美味しかったのに、家では同じようにならないという業界の問題点もあります。)
 

ある程度高額な飲食店だと、お客さんが限定されますから・・・店主とお客さんの美味しい関係ができます。
 

さかもとこーひーでも常連さんがほとんどなので・・・常連さんが美味しく感じるようなバランスが作りやすくなっています。(多くの人が嫌わない美味しさもありますし、一部の人が感動する美味しさもありますね。)
 

新しいお客さんでさかもとこーひーに合わない方はリピートしないでしょうし・・・お好みが合った方はご常連として長いおつきあいになります。なので、急成長はできないんです。
 

さらに液体なので、しばらくさかもとこーひー飲んでいるうちに、他店との違いを感じるようになることがほとんどのようです。お客さんのお好みのコーヒーやカフェのコーヒー飲んで・・・プロとしてお好みとは別に素材や焙煎のクオリティに問題がある場合があります。それでもそのお客さんのお気に入りですから、それでいいと思っています。美味しい不味いは厄介ですね。
 

美味しい不味いとは別に仕事としての味覚のトレーニングもあります。息子二人は店に入ってから、毎日毎日カッピングトレーニング、二人ともに最初の一年二年は何がなんだか分からなかったと言っていますが、三年くらいしたら急に言われていることが分かるようになったようです。今はそれぞれの感性があるので、それが参考にもなります。自分の感覚で独りよがりにならないように意識しています。
 

とにかく、味覚は自分の感覚しかわかりませんから・・・自分の感覚と他の人の感じ方の違いをどう擦り合わせるかも難しく感じますし、共通の物差しも必要です。
 

カッピングと言っても、素材を見極めるカッピング、焙煎を見極めるカッピング、ブレンドのカッピングとそれぞれフォーカスするポイントが違ってきます。(前提として大切なのは、クオリティの低い豆でカッピングしてもスキルアップは難しいと言うことでしょう。)
 

さかもとこーひーでは2種類のこーひー並べたら、誰もが違いを分かるように品揃えしています・・・違うとか、こちらが好きとか・・・。
 

そうそう、先日デュワーズ12年のリニューアルをBS番組の町中華卒業した秋ちゃんが紹介していたので買ってみました。スコッチは40年くらい前にシングルモルトやブレンドものを色々と呑みました。その前には紅茶をリプトンやブルックボンド、フォートナム&メイソン等々たくさん飲んでいて・・・そのブレンディング技術や感性を学んだのですが、スコッチも同じで、特にデュワーズがよく売れていると聞き、そのバランスの取り方にも学ぶことが多く・・・それ以来スコッチは家でも外でもとりあえずデュワーズになっています。
 

そしてデュワーズ12年を呑んで・・・デュワーズのお客をイメージしました。イギリスには美味しいものが無いと言われることがありますが・・・紅茶やスコッチにジャムは美味しい・・・パウンドケーキやスコーンやヴィクトリアサンドイッチケーキも美味しい・・・まぁ身近なものばかりですけどね。
 

ここだけの話し(笑)・・・色々と誘われて食事会や呑み会に参加したり、お店を紹介されたりしますが・・・幹事さんや紹介しれくれる人によって当たり外れがあります、どんなに人気店や高得点とっているお店でも合わないことありますし、外れの無いこともあります。
 

まぁ、それは当たり前のことで、それが味覚商売の難しさで楽しさでもあると・・・爺いになるとなんでも楽しめるようになりました・・・コーヒー紅茶は別ですが(笑)
 

(演出による美味しさと演出関係ない美味しさもあるので困ったものです。勿論、演出も大切なんですが、美味しさを前面に出しながら、実はそれが演出や煽りやマーケティングだったりすると・・・まぁ、こちらも食の仕事なので、興醒めすることもあります。お客さんを楽しませるための演出もありますので、それは嬉しいです。)
 

ランキングやタイトル、スコア、TVや雑誌、YouTubeでの露出・・・業界誌であっても雑誌を売るのが目的なので、メディア受けする店とそう言うこと気にしない店の違いもあります。まぁ、メディアに出たりタイトル取れば集客になりますが、不特定多数の新規客ばかりになると店のスタイルが崩れるリスクもあります。
 

小さな飲食店はその辺のバランスが難しいです・・・それに自店に合ったお客さんの集客やリピートの仕組みが弱いので、売上上げようと意欲がある店主はメディアに頼りがちですね。
 

なので、さかもとこーひーはピークのない店作りを頑固に守っています。
 

おっと何がなんだかわからなくなってきました(笑)
 

と、言うことで・・・自分の味覚・美味しさを作ること・・・お客さんの感じ方を感じること・・・自分の美味しさと常連さんの美味しさをマッチさせることをあれこれしていたら・・・美味い、不味いで50年経ってしまいました。
 

さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。
 

2024年04月14日

坂本・丁寧な暮らし・孝文
 

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